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頚椎捻挫で仕事が休めない?悩んでいる方に向けて対処法を解説

監修記事

枡中 昂也

理学療法士

「交通事故で頚椎捻挫になったが仕事を休めない」とお悩みではないでしょうか。

頚椎捻挫の症状は様々で、無理に仕事を行うと症状が悪化してしまう場合や、賠償請求の際に不利になるケースもあるため注意が必要です。

今回は交通事故後の頚椎捻挫を発症した方に向けて、仕事を優先するリスク、請求できる賠償金、通院先についてなどの対処法を紹介します。

頚椎捻挫で仕事を休むべきか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

頚椎捻挫でも仕事を休めない!仕事を優先するリスクとは

交通事故の頚椎捻挫は軽症で済む人も多いため、治療よりも仕事を優先する人もいます。しかし仕事を優先した結果、さまざまなリスクが生じるケースもあるため注意が必要です。

交通事故との関係性を証明しにくい

自身の症状と交通事故の因果関係を証明できないと判断されてしまう可能性があります。

まず、事故後すぐに病院に行かなかった場合は、その症状が交通事故によって発症したのかの判断が難しくなります。

また、本来は通院しなければならない期間であったにもかかわらず、仕事に追われて治療が途切れた場合は、「交通事故とは無関係な日常生活の影響の症状なのではないのか」「本当はすでに頚椎捻挫が治ったのではないか」と疑われることもあります。

こう判断された場合、治療費などの補償が受けられないこともあるため注意が必要です。

後遺障害等級の認定が難航する

交通事故直後に病院に行かなかった場合や、治療途中であるにもかかわらず途中で勝手に通院をやめてしまった場合は、後遺症が残ったとしても、後遺障害等級の認定が難航するケースがあります。

なお、交通事故の怪我の痛みは、交通事故が起きた直後に起こるものばかりではありません。事故後しばらく経ってから出てくることもあります。そのため、事故直後に症状がない方でも、医師の診断を受けて診療記録を残しておくことが重要です。

仕事を優先して病院に行かなかったり通院をやめてしまった結果として後遺症が残った場合は後遺障害等級認定が難航する、と覚えておきましょう。また、賠償金や慰謝料が減額される場合や、受け取れないこともあります。

次の項目では、「賠償金や慰謝料の減額」について紹介します。

慰謝料が減額される可能性がある

頚椎捻挫の治療中に、仕事を優先して通院が途切れた場合には、慰謝料が減額されてしまう可能性があります。

通院頻度が少ないと、症状が治ったのではないかと相手方に判断されるためです。仕事が忙しくても定期的に通院するように心掛けてください。

なお、一度通院をやめてしまうと、仕事が忙しいといった理由を相手方の保険会社に説明しても、認めてもらえないことが多いといえます。

事故後に仕事を休めず頚椎捻挫の痛みが出たら人身事故へ切り替えを

物損事故と人身事故の違い

▲物損事故と人身事故の違い

交通事故の頚椎捻挫の特徴として、「事故直後には痛みはなかったが、数時間から数日後に痛みが出現する」というケースがあります。

自覚症状がなく物損事故として届けていた場合は、整形外科で診断書を取得し、警察に提出しましょう。

診断書が受理されれば、人身事故扱いに変更されます。 物損事故と人身事故では、補償される範囲や内容が異なりますので、注意してください。

示談が成立した後は、原則として内容を変更することはできません。

関連記事物損事故と人身事故の損害賠償の違いとは?<弁護士監修>

頚椎捻挫でも仕事を休めない理由が「減給」なら損害賠償金を請求

交通事故の損害賠償の内訳

▲交通事故の損害賠償の内訳

「仕事を休むと減給されるので、無理をしてでも仕事に行かなければならない」と思う人もいるかもしれません。

しかし交通事故にあった場合は、休業日数分の休業損害補償を請求することができます。

仕事を休む場合に請求できる休業損害

交通事故で受けた傷症状が重くて仕事を休まざるを得ない場合、減収分を休業損害補償として休請求できます。

なお、有給休暇を使った場合も、消費した有給休暇分を休業損害補償で補填してもらうことができます。

しかし自己判断での欠勤や早退は認められにくいため、医師の指示の下に休職するようにしてください。

休業損害の計算方法は「日数×休業日数」となります。日額は以下のとおりです。

  • 給与所得者:事故以前の3か月分の収入÷労働日数
  • 自営業者:事故前年の確定申告時の申告所得÷365日

後遺症によって減給した場合は後遺障害逸失利益を請求

頚椎捻挫などの症状が後遺症になり、労働能力に支障が出たことで収入が減ったと認められた場合、後遺障害逸失利益が生じたとして、「交通事故が起きていなければ将来得られたはずの収入」の補償を相手方に請求できます。

たとえば、しびれや痛みで長時間労働が難しくなった場合や、肉体労働が行えなくなった場合が考えられます。

後遺障害逸失利益を請求できる条件としては、「後遺障害等級に認定されていること」があります。

仕事を休めず後遺症等によってクビになったら休業損害

交通事故後の後遺症などで仕事に影響が出た際に、「働けないのであれば辞めてほしい」として会社都合で解雇された場合のみ、休んでいたときの分と、解雇後の一定の間は休業損害が支払われ続けます。
該当する期間は以下のとおりです。

  • 新しい就職先が決定するまで
  • 「就労意欲を持って就活をしていたのならば、これくらいで就職先が決まっているであろう」と判断される期間まで

2つ目のケースについて、くわしく解説します。
1つ目のケースだけを「休業損害が支払われる期間の条件」とした場合、「再就職をしなくてもお金が入ってくる」ために1年も2年も再就職しない人も出てく可能性があります。

そうした事態を防ぐために、「一般的なレベルの就労意欲を持って就活していたとしたら、就職先が決まっているであろうと判断される期間」までしか休業損害が支払われない決まりがあるのです。

この期間が来たと判断されれば、たとえ実際には次の就職先が決まっていなかったとしても、休業損害は打ち切られます。

なお自己都合退職の場合は休業損害の支払いを受けることは難しいため十分注意してください。

頚椎捻挫でも仕事を休めない理由が「多忙」なら他の通院方法を検討

交通事故のむちうちの主な治療先(病院・整形外科、整骨院・接骨院)

▲交通事故のむちうちの主な治療先

「単純に忙しすぎて通院が難しい」場合は、「通院できる方法」を考えた方がよいでしょう。

多忙な人でも通院できる対処方法をいくつか紹介します。

休日に受診可能な病院を探して転院する

平日は仕事で忙しいために通院できない場合は、休日に受診できる病院を探しましょう。

現在は土日でも開いている病院があります。特に土曜日の午前中は、多くの病院が診療しています。

なお、通院先を変更する場合は、相手の保険会社に連絡をしてください。何も言わずに転院してしまうと、治療費の支払い時にトラブルが起きる可能性があります。

遅い時間まで営業している整骨院等に仕事終わりに通う

土日診療を行う整形外科が近隣にない場合や、夜に通院したいといった場合は、整骨院・接骨院への通院を選択肢に入れましょう。

整骨院は、比較的遅い時間まで営業している施設が多く、通院のしやすさがメリットです。
交通事故による通院の場合、整形外科と同様に自賠責保険が適用されます。

整骨院へ通院する場合は、注意点もあるので確認しておきましょう。

  1. 病院で診断書を取得していること
  2. 少なくとも月に1度は病院へ受診すること

注意点を守らなければ、治療費の補償を受けられない可能性があります。

関連記事むちうちで整骨院に通院していい?いつから通えるかや施術も解説!

頚椎捻挫で仕事を休めないときも2週間は休むべき

頚椎捻挫が治るまでには3か月程度かかるといわれていますが、3ヶ月間休業して過ごせる人は多くないでしょう。

しかし、頚椎捻挫は、決して軽い怪我ではありません

たとえ仕事の繁忙期であっても、2週間程度は安静にすることが重要です。なぜなら、通勤に使う電車の揺れや、長時間に渡るPC作業でも症状が悪化することがあるからです。

通院日以外に頚椎捻挫の症状で仕事を休みたいなら証明が必要

「定められた通院日ではないが、痛みがひどいので休みたい」場合は、仕事先に連絡を入れてきちんと手続きをすれば、休業損害補償が出される形で休むことができます。

しかし自己判断で勝手に休んでしまった場合は、本当に交通事故を由来とする怪我による欠勤かどうかが判別がつかないため、休業損害の対象外とされる可能性があります。

痛みがひどいときこそ病院に行き、「たしかに首の痛みが原因で休んでいたこと」を証明できるようにしておきましょう。

まとめ

交通事故による怪我の症状で「頸椎捻挫」は多くの方にみられる症状です。

しかし、例えよくある症状でも、油断は禁物です。仕事を優先して放置していた場合、後々自分自身が不利益を被りかねません。

交通事故によって休んだ仕事の収入を補填する方法はいくつかありますので、自分自身のお身体と治療を優先してください。

この記事を監修したのは…

理学療法士として整形外科病院で患者様に対するリハビリテーションを担当。
現在は病院勤務を行いながら、Webライターとして医療に関する情報発信を行っている。

この記事の執筆者

理学療法士 / 枡中 昂也
理学療法士として整形外科病院で患者様に対するリハビリテーションを担当。 現在は病院勤務を行いながら、Webライターとして医療に関する情報発信を行っている。

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